「都会の自然」シリーズへようこそ！　

「カエル合戦」・・・・ヒキガエルが少ないメスをめぐって壮絶な戦いを繰り広げます。
時は啓蟄（けいちつ）の頃、春の夜にくり広げられる「ヒキガエル」の様子をそっと見てみましょう。

カエル合戦（その１）　冬眠の目覚め〜這い出し

	雨がしとしと、夜はとっぷり暮れて、今日は啓蟄（けいちつ）の日の前日（3月4日）。 ぼくは目がさめて、土の中から這い出してきたんだ。 ここは東京・大田区、呑川上流近くの「桑の木児童公園」のそば。 ぼくたちヒキガエルは、地温が６℃を超え、今日のように雨が降ると冬眠からいっせいに目覚めるのさ。
	うえ〜ん、ぼくの友達が車にひかれちゃった。 冬眠から目覚めたばっかりで、まだ寝ぼけまなこでぼ〜っとしてるから、気をつけてね。 雨の夜に這い出すのがいけないというけれど、昼間はこわ〜いネコやカラスたちもいるし、夜のほうが安全なのさ。

	なにをしているかって？ メスの上にオスが乗って、「抱接（ほうせつ）」しているんだ。 僕たちが冬眠から目覚めたのは、生まれ故郷の池に「産卵」しに向かうためなのさ。 「池」までまだ遠いのに、早くから抱きつかれるとあんまり楽じゃないなあ。
	ここ東京・大田区は都市のど真ん中、もう「田んぼ」も「溜池」もありません。 残された「池」は「洗足池」と「宝来公園池」、それに「清水窪湧水池」くらいで、あとは東京湾埋立地に作られた公園に人工池があるだけ。 今ぼくたちのいる公園から「洗足池」までは、なんと１ｋｍもあるけれど、がんばって向かうのさ。 敵も人も少ない夜に、こっそり静かに・・・

さて、明日には無事に「池」にたどり着くでしょうか。どんな困難がまっているでしょうか。
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